2011年3月25日金曜日

会報夢眠018号

2011年 03月25日 発行
    
会 報 夢眠(むーみん)  No.018
NPO市民のための睡眠障害を考える会
(NPO夢眠)

           

心地よい眠りと心身の安らぎをあなたに!
「ねむり」書籍紹介  夢眠会員田中七四郎
著者:村上
春樹
出版社:新潮社、2010.11.30
価格:\1,800  
  村上春樹のねむりについてのSF的短編小説である。全くねむれなくなった17日間の体験を細かく心理描写している。主人公は30才の既婚女性で、夫は歯科医をしており息子が一人居る、昔風に言えば有閑マダム、今で言えばセレブ的な人種である。お金と時間に何不自由なく幸せな生活を送っている。夫を近くにある診療所へ送り出した後は自家用車を駆って買物へ出かけたりスイミングに通ったり毎日を謳歌している。そんな彼女が突然ねむれなくなった。正確には二度目である。一度目は大学生のとき同じ様な経験があり、夜になると激しい覚醒がやってきてねむれなかった。それは1カ月後予兆も無く唐突に終った。突然27時間ねむり続けてもとどおりに治った経験があった。春樹の長編小説である「1Q84」のような特別不思議な現象やどんでん返しが出てくるわけでもない。ねむれなくなったのはある日ぬめぬめした嫌な夢を見て金縛りにあったことが原因だった。ねむれなくなったことを夫や息子に話すこともなく家族は彼女がねむれなくなったことには全く気がつかない。ただねむれない毎日を「アンナ・カレリーナ」やロシアの長編小説を読んだり、深夜一人でドライブしたりしてねむれない以外困ったことはなく生活ができている。むしろねむれなくなって彼女の可処分時間が多くなり、それだけ生活の幅が広がり、ハッピーになったとも受け取れる。ねむれないことがどんなにつらいのか、ねむらないでいるとどんな実害が出てくるのかは小説には出てこない。ねむりなんかいらないとねむりを恐れなくなった。ねむりの価値を認めていないかのようなその意味では不思議な小説である。
  それは著者があとがきで書いているように、この短編小説が書かれた時期に関係があるのだろう。元々この小説は「眠り」(今回は「ねむり」)というタイトルで1989年の春にイタリア、ローマで書かれたという。そのときは、著者は<「ノルウエイの森」と「ダンス・ダンス」という二つの長編小説が成功を収めた直後だったが、心が堅くなり、冷えこんでい>た時期であった。>、<でも春が来て、・・・堅く凍りついていたものが、少しづつ柔らかくなり、融けだしていることが感じられた。>、<・・・いつもの僕の短編小説に比べるといくぶんテンションが高いように感じられる。おそらくそのときの僕の心境が反映された結果なのだろう。>と。
  著者自身はねむりの価値を認めていないわけではないと筆者は思う。なぜなら著者はある本に眠りは<靴の踵の方減りのようなもの・・・人は眠りの中でかたよって使用された筋肉を自然にほぐし、かたよって使用された思考回路を鎮静し、また放電する・・・眠りは人というシステムに宿命的にプログラムされた行為であって、・・・眠りを失えば人の存在そのものが存在基盤を失ってしまうことになる>という内容の文言を紹介している。また著者は、ねむりと死とを春樹的発想で主人公に語らせている。<死とは・・・暗黒の中で永遠に覚醒し続けていることであるかもしれない。・・・死が休息であるべきだなんて、そんなものは理屈になっていない。それは死んでみなければわからないのだ。・・・>。筆者はこの短編小説をねむりの大切さを現代人に警鐘乱打している反面教師として読んだ。小説は17日間ねむれなかった後、主人公はどうなったのかは未完で終わる。つづきが待たれる。
以上。2011/2/25

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1. いびき・睡眠呼吸外来関係
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・http://www.k-you.or.jp/ 北九州市霧ヶ丘 つだ病院

事務局報告
□平成22年度の総会開催(第3回)を準備しています。期日など決まりましたら改めてご案内しますのでよろしくお願いします。



あとがき
□「眠りは国民の健康、安全、学力、経済の基盤であり、睡眠を大切にすることで、心身ともに健康で安全・快適な社会を実現したい」と日本睡眠学会(理事長・清水徹男氏)を中心に「睡眠の日」を制定しようという動きがある(2011/2/10毎日新聞)。夢眠もその後押しをしていきたい。以上。


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