2007年12月13日木曜日

睡眠障害とその治療法について講演録

11月の例会報告
-患者、家族が医療者と普段着でがんを語る-

日時:2007年11月17日(土)14:00~16:00
場所:北九州市小倉北区木町2-12-34 
会場:西安寺
講師:ふくおか睡眠クリニック院長 福留武朗さん
演題:睡眠障害とその治療法について
主催:「北九州・行橋がんを語る会」

  つい最近福岡市にクリニックをオープンされた福留さんに講師をお願いしました。
  お寺の境内は秋の陽射しを一杯に浴びた小春の昼下がりでした。新聞の地方版で今日の案内を知ったという初参加の方を含め12~3名の方々に参加をいただきました。
福留さんは、2004年九州厚生年金病院(麻酔科医、救急医療医)を辞職後、睡眠医療の世界を目指し全国各地(仙台医療センター、甲賀病院、古賀総合病院、虎の門病院睡眠センター、代々木睡眠クリニックなど)で学習され今日に至っています。
私たちにとって身近な睡眠というものについて、分かりやすく大変ためになるお話しをお聞きすることができました。

☆要約
①ある統計データでは、眠気を感じている人は若年者で14.9%、高齢者で21.5%ある。その背景には睡眠時間が5時間以下、自覚的に睡眠不足を感じている、入眠不良や朝早く目覚めるなど、いろいろな不眠の形態がある。
②動物実験などでは眠らせない(断眠)でおくと感染症などで死んでしまうデータがある。
③眠気は生きるための警告信号である。脳が疲れたから眠る。夜だから眠る。
④覚醒を維持する中枢と睡眠を維持する中枢とが覚醒と睡眠を切り替えている。光や食生活などによって微妙に調節されている。
⑤各内臓は25時間周期の体内時計を持っており、起きていても体は夜になっている。
⑥過眠症とは。日中絶えがたい眠気を催し、しばしば居眠りをともなう。夜の睡眠時間の不足はない。
⑦なぜ過眠症になるのか。夜間の睡眠が浅く、睡眠の分断がある。眠りと覚醒のリズムが障害される。
⑧過眠症は損をする。不眠症に比べて知られていない。いくら寝ても眠い。治療薬が少ない。治療が普及していない。PSG検査、MSLT(眠気を計る検査)など特殊な検査でしか検査できない。
⑨睡眠・覚醒を維持する機能の障害としてナルコレプシー、特発性過眠症、慢性過眠症、頭部外傷後性過眠症、髄膜炎後過眠症等がある。
⑩睡眠時無呼吸症候群とは。いびきで息ができなくなって目が覚める。太り気味の、高血圧の、男性に多い。治療にはCPAPという道具で、鼻にマスクを当てて空気を送り込み、上気道の閉塞を防ぐ方法が効果的。CPAPは小型で、旅行カバンに楽に入るぐらいの大きさ(例えば 12.7 x 7.9 x 19cm, 重量約 1Kg: 某メーカー製品)自宅で使用できる。
⑪これから睡眠障害を経験する人が増えるだろう、睡眠の専門医も増えてくるだろう。現在病院に睡眠科はない、循環器内科、呼吸器内科、神経内科、で診てくれる。
所感  
  ・質疑応答の時間では、寝付けないという参加者の方より「ハルシオンが効かないがいい方法がないでしょうか」とか、ある方は実際に飲んでいる薬を持参してきて「続けて大丈夫でしょうか」などご当人にとっては切実な質問が飛び交った。医師は「本当かどうか事実を知る必要があります。そのためにはご本人を診察、検査する必要があります」と即答は避けられ、一般的にはという観点からコメントを返された。実際には下記のような北九州地区にある睡眠専門のクリニックを紹介された。有吉祐睡眠クリニック(tel093-921-4133) http://www.you-sleepclinic.com/ 霧ケ丘つだ病院睡眠呼吸センター(tel093-921-0438) http://www.k-you.or.jp/など(電話番号、HPアドレスはタナカが後日調査)。
  ・医師はがんと睡眠については突っ込んだお話しはされませんでしたが、関連性は大いにあるとのこと、いつか又の機会にお願いしたいと考えています。本日は貴重な時間を講演とディスカッションに割いて頂き感謝申し上げます。

・参考文献:「快適睡眠のすすめ」岩波新書683、堀忠雄著、¥780。
  冬紅葉街は静かにたたずみぬ 烏有      (文責 田中七四郎)

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